菜月の居ない世界で

次女 菜月の自死からの記録 菜月の居ない世界

菜月の自死未遂と家族(30.Sep)

<2020年 9月30日(水)>

朝から天気はすぐれない。
菜月の事を会社に伝えるべきか昨夜も光美と相談したが、
光美は出来る限り伝えない事を奨める。自分もそう思う。
光美は朝から病院に行くようだ。入院の手続きが必要な為だ。

会社には朝礼後に報告した。
私は菜月が自死する様な人間には到底思えない。だから何か事故だと思っていた。
菜月の事だから自殺の真似でもしていて、本当に首が締まってしまった事故だと。
報告したのは、
昨夜、家内から連絡が有って娘が意識不でICUに入った。意識は無く人工呼吸器で
何とか命を繋いでいると…
H取締役が原因を聞く。当然言いたくないから良く解らないと言っても
それが気に入らない様で、事故なのか病気なのか?
事故と言えば何が有ったか言えるだろうと。
見かねたのか、K社長は“解った”と一言。でもH取締役はしつこい。
人の事など思い遣る事の出来ない人間と思っていたが、もはや黙るしかない。
最後は捨て台詞の様に解ったら報告する様言われてから退室した。
心はボロボロだ。
9;00過ぎに光美から連絡が入った。日本は11:00頃になる。
ここで衝撃的な内容を聞かされた。
菜月のレントゲンにて片方の肺が白くなっていて、肺炎を患っていた。
喉を閉められて異常に出た唾液を誤飲した事が原因らしい、
脳のCTを見ると一部に暗い部分が有る様だ。光美も見せてもらったらしいが、
他の部位との違いは全く見て取れなかったと言っていた。
医者の見解はこの部分が生きてく行動を制御する部分で、自発呼吸はこの部分の曇りが
原因との事で、これ以上脳にダメージを与えない為に、現在は脳低体温療法中との事で、
脳は熱に弱いので体温を低下させ炎症の進行を遅らせる様な事を言ってた。
何度まで落とすのかはあえて聞かなかった。落胆の声が悲しそうだ。
現実的な事として、今菜月はICUに入っていて入院費は1日 15万円かかるらしい。
回復するも最低10日、150万円、長期化すれば・・・
例え長期化しても戻ってきてくれるならどれだけ掛かっても良いと思う。
高額医療控除も含め、自殺の場合は保険が利かない事は知らなかった。
保険が使えないかの判定は出てない為、取り合えず保険証の提出と、
保険組合(私の会社)に高額医療の連絡が必要との事だった。
会社の担当者には光美が電話連絡した。
後の光美からの報告で、原因として菜月の自殺未遂を言わざるを得なかった様だ。
それを聞き、遅かれK社長とH取締役には伝わると考えてた。
昼休み、H取締役が事も有ろうか事務所内で何か解ったかと聞いてくる。
正直、人の痛み・苦しみ・悲しみを全く考えてくれない。
仕方なしに、自殺未遂と伝えざる得なかった。その時に放った言葉が“やっぱしか”
想像してたなら聞かないだろう!言いたくない事解らないのか?
色々話しかけるが早く立ち去りたく、合図ちうって立ち去った。
悔しくて、その内容を光美に話してしまった事は後悔している。
当然だけど、光美は相当心労が激しい様だ。
場面を想像しただけの私は、何処か本当に現実なのかと思う時が有るが、
光美は現実を目の当たりにして、その場所に帰るしかない。
どれだけ苦しいだろう。そのことを思うだけで切ない。
なのに心無い人間の仕打ちを伝え慰めてもらおうとした自分が情けない。
菜月に会いたい。光美に会いたい。本当にゴメン。