菜月の居ない世界で

次女 菜月の自死からの記録 菜月の居ない世界

通夜

<2020年10月16日(金)>
今日は通夜だ。夕刻6:00となっている。
菜月は15:30に自宅を出発するらしい。
通夜が始まる前に、菜月に会える時間を作ってもらう事になっていたが、
一向に電話がかかってこない。
光美からは16:30頃になると言われているが既に17:00になる。
止むを得ず京子に電話すると17:30に葬儀場にに来てくれとの事だった。
光美は全く自分が16:30分に連絡するといった事を忘れている様だ。
仕方が無い。色々精神的にもまいってるだろうから。
とは言え、中津川か有香の入れ知恵も考えられる。何もかもが疑わしい。

葬儀上の駐車場で待機していると京子が来た。

通夜が始まる前に菜月に会える時間がもらえた。

式場に入ると式場の方以外居ない。菜月に歩み寄って菜月と話す。
昨日と違い菜月は硬く、冷たい。菜月が逝ってしまった事が現実だと教えてくれる。
菜月の表情は優しく本当に眠っている様だ。唇の色も薄いピンク色で綺麗だ。
わが子ながら美人だったと改めて思う。

どうしてだろう?何故?何に絶望したの?色々問いかけても答えてくれない。
光美も自殺の原因を調べてたが、何一つ思い当たる事が無かった。
・就職は難関だと言われた春日井市民病院に合格している。
看護学校の単位も現在落としているものは無い。
・現在は実習が忙しく仕事はしていない
・複雑だが、コンビにで知り合った男性とデートの約束を控えてた様だ。光美から聞いた
・居酒屋で知り合った消防士ともLINE交換し、会う約束もあった様だ。
自殺をした明後日に約束してた様で、相手から連絡がLINEに入っていた。
趣味のカードの交換も途中で、菜月がお願いしたカードが送られてきていた。
全てが途中で、何かを清算する様な行動は見られなかった。
唯一気になった事と言うと。29日の実習は訪問実習だった様で、
何かとても汚い家だった様だ。犬を飼っていた様だが、

躾が出来てなく小便を部屋でする様で、
うっかりそれを菜月は踏んでしまった様。多少潔癖性な菜月は随分嫌だった様だ。
その実習先には翌日も有った様だ。

だけど、その程度の事で自殺したとは思いたくない。
実習自体は、年末まで続く予定だった様だ。
Covit-19の影響で実習のスケジュールを含め過密だった様で、
菜月は朝早くから遅くまで頑張ってた。
菜月は頑張って、頑張りすぎて張り詰めた糸が切れてしまったのだろうか。
とっさ的に死を選んでしまったのだろうか。問いかけてもやっぱし答えてくれない。
いつか、そっちに言ったら教えてね。
おでこにキスして駐車場に戻った。

通夜は始まり、喪主の私が呼ばれて玉串を供えた。
家族は誰も居ない、私との接触を避けている。接触をしない為だ。
私は玉串を供えると駐車場に戻った。進行は何一つ解らない。
どれ程の時間だったろうか。光美が来て通夜が終わった事を知らせた。
この後、菜月の友達が来る予定らしい。
とりあえずHotelに戻る事にした。
菜月は友達が多いと思っていたが、今回何処まで連絡が伝わっているか解らない。
もし友達が来てくれなかったら、菜月が悲しがるだろうと心配していた。
20:30頃、京子から電話が入った。
京子も友達が来ない事を心配していた様で、こっそり式場に見に行った様だ。
京子が言うには、菜月の友達は沢山来ていた様だ、

菜月の死を本当に悲しんでくれて居た様だ。
やっぱし菜月は人気者だ。
菜月。友達も多く孤独では無かった筈。

どうして死んだ。悲しい。菜月に会いたいよ。