菜月の居ない世界で

次女 菜月の自死からの記録 菜月の居ない世界

本当のお別れ

<2020年10月15日(木)>

二人でゆっくり話してと言われ
時間までゆっくり話した。色々話したね。
でもやっぱり最後はごめんねとなってしまう。
控え室に戻り菜月の帰りを待った。

菜月はICUに戻ってきている。光美と有香が選んだ服に着替えている。
化粧をしてもらっている。
化粧をした菜月は親ばかでも美人だと思った。
今までも、菜月は可愛いとは思っていたが、パーツはそろっている。
看護師さんも菜月ちゃんは美人だねと言って頂いた。本当に美人だ。

本当に勿体無い。
美人であるだけで、どれ程人生が有利に生きられるのに。
菜月は自分の美貌に気がついてなかったのかも知れない。
菜月が成人式にて、同級生に可愛いと言われたらしいが、
菜月はその事を、

”私でも可愛いと言われた”とびっくりしていたとのエピソードがある。
菜月は美人だよ。光美と同じ鼻筋がしっかりしていて、切れ長の目、大きすぎない口。
間違いなく美人だ。
看護師さんに又、二人っきりにしてもらった。今はゴム手袋は無い。
菜月に触れられる。30分近く語り掛けては泣いて。

語っては泣いてであっという間だった。
頬とおでこに軽くキスしてお別れをして退室した。
菜月を看護してくれた。堀田さん、川村さん、堀さんありがとうございました。

菜月は午後に自宅に戻ってきた。私は会いに行くことが出来ない。
また苦しい夜が来た。