菜月の居ない世界で

次女 菜月の自死からの記録 菜月の居ない世界

Tesco Lotus

<2021年4月9日(金)>

同僚が心筋梗塞にて入院。付き添いが必要な病院な為、日本人が順番にて夜勤で

付き添いを行っている。昨夜から自分の番で朝8時に交代が来てHotelに帰った。

NP HotelではCovid-19の患者が出た為、館内消毒やらエレベータ仕様禁止やらで

何処に行っても窮屈だ。

部屋に帰ってから、軽めの朝食を取ってLotusに買い物に行った。

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Lotusに入って直ぐに、入り口に釘付けになった。

2007年 当時はまだ店は無く壁だった。

此処で、菜月を叱って泣かした場所だ。

理由は同でも良い、折角タイに来てくれたのに、どうせ下らん事で怒ったのだ。

この場所に来る度に後悔している。

今更後悔しても遅い、もう二度と誤る事も、償う事も出来ない。

そんな事は自分が一番解っている。

けど、後悔することしか出来ない。後悔して苦しんで菜月を偲ぶしかない。

 

その後悔すらする事を有香は許さない。

もはや家族では無くなってしまったのだろう。

 

部屋に帰ると育ててるパイナップルに水を上げた。

以前なら、家族に近況として報告していたが、今は殆ど連絡は皆無だ

孤独とはこれか。

 

<2021年3月28日(日)>

菜月が准看護師の合格祝いで文鳥を2羽飼育を始めたのが、

2018年の4月だったと思う。

やせた小鳥で食も小さく、給餌器で育てた文鳥だ。

菜月が逝ってしまった年末に初めて雛を羽化させた。

もう直ぐ3年経とうとしていたが、

雄の文鳥 白が週末に死んでしまった様だ。

菜月に良くなついていた文鳥

菜月が居なくなっても何時も菜月を探す様に鳴いていた文鳥

菜月を追ってしまった。

菜月。皆が悲しんでいるよ。

私も菜月に会いに行きたいよ。

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あらためて

<2021年3月20日(土)>

本来なら看護師試験が終わり、春日井市民病院に勤務が始まる前の

つかの間の春休みを楽しんでいた頃だろう。

毎年の様に行っていた飯田のいちご狩にも行った事だろう。

去年は光美・有香と共に3人で行った所だ。

自然体の菜月の写真が愛おしい。私が見る最後の菜月の笑顔だった。

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改めて、何故 菜月が死を選んだのか

何故菜月は死にたいと思ったのだろう。

自分は良い父親だったとは思わないが、

菜月が死にたいと思うほど酷い親ではなかったと思う。

怒りに任せ暴力を振るった事も有ったけど、それなりの理由があり、

自分のストレス発散で行う様な事は決してなかった。

生活も贅沢は無くても、貧しき想いをさせることも無かった。

 

今思うのは、人並みの生活をさせる事が出来れば、親として問題ないと思っていた事。

その結果が菜月の闇を見つける事が出来なかった原因だろう。

結局は自己満足し菜月を見てなかったから、菜月は死を選ぶしかなかったのかな。

菜月ゴメンな。

菜月に会って誤りたいよ!

 

 

菜月に会えた日

<2021年3月1日(月)>

 

最近夢を見ていない。

以前より、家族の夢を見ても光美が出て来るだけで、菜月の夢など記憶が無い。

見ているかもしれないけど、全く記憶に残ってない。

菜月が逝ってしまってから、夢でも良いから会いたいと、

菜月の遺骨に話しかけていたが、見ることが叶わなかった。

しかし、願いが叶い今朝、菜月に会うことが出来た。

 

夢の設定?は本当に下らない話から記憶に残ってる。

大雑把に書くと、

光美が会社の人間複数と不倫をした挙句、妊娠したと言った内容で、

怒りに震えながら、家の中を整理している所に、光美が帰ってきた。

詰寄ると「私妊娠してるから」「誰の子だ?」「それが解らないのよ」

この様な会話をして、怒りが抑えられないと思ったときに、

不意に入り口を見ると、菜月が立っていた。

光美の事など無かったかの様に

私は直ぐに菜月を呼んだ。

「菜月、ちょっとこっちに来て」

菜月は、何時もの口調で「なに~」と言いながら近くに来た

私は菜月の両手を掴んで必死に伝えた。

「俺、菜月の事本当に愛してるから」

「菜月の事、大切に思ってるから」

菜月は少し、迷惑そうな表情を浮かべながら、

「わかっとるは~」と確かに返事をしてくれた。

その時、菜月の手の温もりを確かに感じていた気がする。

そこで、目が覚めてしまった。

時間は4時10分頃だったと思う。

 

菜月の夢が見れた嬉しさと、菜月の手に触れた感触は確かに会った。

だけど、現実は夢であった事の絶望なのか。

暫く声を上げて泣いてしまった。

でも、今まで菜月に言えなかった気持ちを正面から伝えれた。

たとえ夢でもその事は素直に嬉しい。

又、菜月に会いたい。もっと色々話したい。

菜月。君の事を愛してます。

 

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富士サファリパーク

<2021年2月25日(木)>

 

何気なく見ていたテレビで富士サファリパークの

CMミュージックを女性4人で歌っていた。

それを見て、思わず思い出してしまった。

菜月は幼稚園の頃から富士サファリパークに行きたがっていた。

小学生2年になった頃より、富士サファリパークのCMが流れると

「ほんとに、ほんとにライオンだ 何時なったら行けるんだサファリパーク」

菜月の替え歌に爆笑した記憶が蘇る。

菜月は何時も家族に笑いと問題を提供してくれてた。

菜月が居なくなって、我が家には笑いが消えてしまった。

菜月が居ない今、我が家には二度と笑いは戻ってこないのだろうか。

(TT)

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2005年 富士サファリパークで

休息

<2021年2月15日(月)>

看護師国家試験が昨日行われた。

菜月が受ける予定だった国家試験。

菜月が居れば、今日はゆっくり休んで

恐らく作れなかったバレンタインのチョコクッキーでも作ってる事だろう。

 

菜月が逝ってしまって、4ヶ月経った。

なんと長い4ヶ月だろう。一向に時が過ぎない。

菜月に言ってなかった言葉。”愛してる”が色々な後悔を吊れて来る。

有香の酷い言葉も、どんどん膨れて圧し掛かる。

もう有香とは分かち合える事は無いだろう。

今の私は有香を憎んでしまっている。

看護師国家試験

<2021年2月14日(日)>

 

今日はバレンタインデーだ。

例年だと菜月はチョコクッキーを焼いていた。

バターが嫌いな私は、リビングに広がるバターの匂いが嫌だった。

ただ、配る残り物のクッキーを摘むのは好きだった。

意外と美味しい。やっぱし菜月も女の子だと改めて思い出す日だ。

 

菜月は今日 看護師国家試験を受ける筈だった。

就職も立派な病院に決まり、後は国家資格を得て看護師になる

高校を卒業してからの5年間の努力の集大成を迎える日だった。

菜月はきっと合格しただろう。

競争率の激しい病院に受かったんだ。

資格を取れるか危ない生徒に内定など出さない。

何故、何故、何故。

いつまでも、いつまでもこの言葉が離れない。

菜月に会いたいよ。

明日からはゆっくり休めたのに。5ヶ月の辛抱だったのに

何故、何故、何故。

菜月 苦しいよ。