菜月の居ない世界で

次女 菜月の自死からの記録 菜月の居ない世界

菜月の状態? 戻ってきて!

<2020年10月 6日(火)>

菜月がICUに入って7日。もう一週間になる。

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自発呼吸は未だ再開してない。人口呼吸器は今まで気管挿官による装着だったか、

唾液や雑菌の進入が懸念される事から、切開して人口呼吸器を装着する事になる。

恐らく今日切開を行う事になると光美から聞かされている。

これから、担当医からこれまでの経緯・現状・切開の説明を今日説明をして頂ける。

 

今使っている携帯電話は会社から預かっている電話で、電話代は全て会社に行く。

携帯電話による国際電話。恐らく長時間の会話になるので費用が心配だ。

会社で問題になりかねない。以前、携帯電話で国際電話を長時間した輩が

100万円近く請求された事例があったからだ。

その為光美に病院に来てもらい、光美の携帯電話を使ってLINE電話をする事にした。

タイ国のインターネットも随分良くなっている。恐らく会話は成り立つだろう。

これなら通話料金を気にせず会話ができる。

もうすぐ約束の時間になる。期待と覚悟 いろいろ考えられる。

後に、今日までの出来事を記録するつもりだが、

これまで担当医からは"厳しい”の言葉が出ている。でも私は菜月の復活を信じてる。

 

タイ時間 9:00

担当医の先生とLINEビデオ通話にて説明を受けた。

運び込まれた経緯

9月29日 日本時間

6:45 光美と菜月が最後の会話

7:43 夕食の支度が整い、菜月の部屋に呼びに言って事態を発見

  有香が人口呼吸と心臓マッサージを行う。救急隊員到着後交代。

  2回の心臓蘇生処置(恐らくAED)にて心臓が動き出したらしい。

  恵那病院に連絡するも、状態から受け入れが困難と判断され、多治見県病院に!

8:50 多治見県病院に到着。発見から1時間経過していたが、救急車内では気道確保

  酸素吸入でできる限りの事はしたとの事。

  光美や有香から不満は聞いてないので追求はしない。

 

容態について

肺は初期に誤飲による肺炎が片側に広く見られたが、改善されてる様で

CT画像比較で見て取れる。

問題は脳の炎症。昨日のCT検査から明らかに脳に腫れが見られる。

CT画像比較で素人ながらに解る。脳の機能が低下していってる様だ。

10月1日に脳波の検査を実施しており、その時には電気信号は確認されている。

次回、8日に再検査を行うらしいが、今の状態は脳死に向かってるとの事。

担当医からは回復の可能性は大変厳しいとの事だった。

可能性は0とは言われなかったが、これまでの事例では成長途中の幼児ではあるが、

成人による回復は略無いとの事だ。希望は儚く 現実は厳しい。

 

これからの治療方針としては、

回復では無く、生きるためにどうするか?脳死を受け止める事だ。

現在の栄養補給である点滴だけでは必要な栄養は補えない。

鼻からも液体で直接 胃に入れているが、脳の活動低下により、腸の活動がも弱く

これ以上量を増やす事ができない。対応策は"胃ろう"と”血管注入”

胃ろうは胃に穴を開け、直接栄養分を補給する。

血管注入はよく理解してないが、点滴と何が違うのか解らないが、血管に管を繋ぎ

直接栄養分を補給する医療だ。恐らく添加量が増やせるのだろう。

光美は胃ろうは反対している様だ。

 

最後の話は今後の事として、

選択は決まっている。先日 光美とも話している。

私はどの様な形でも何処かで菜月が生きている事を望むし、

名前も知らない誰かが、ドナーとしての菜月に感謝してくれる事を望む。

概ね担当医には伝えてたが、結論は先延ばしとなった。

 

LINE動画で話していた事から、担当医より菜月さんを見ますか?提案された。

光美から”ひろくんは見ないほうが良いよ”と言われてたが、

顔だけでいいから、ひとめ会いたいとお願いした。

なぜか3~40分後に再度繋げるとの事で一旦LINEを切った。

LINEが鳴り、携帯を菜月に向けられた。周りに多数いる事が伺える。

菜月は少し傾いて寝ている。口には呼吸器の管。

三つ網になった髪。看護師が編んでくれたらしい。顔色はとても良い。

目を閉じて、口の管が無ければ普通に寝ている様だ。

思わず 菜月と叫んだら、途端に涙が出て嗚咽で声も出せなくなった。

看護師が”お父さんが呼んでるよ”と言って頭を摩ってくれている。

会いたい。今すぐ行って菜月に触れたい ただそれだけでいい。