菜月の居ない世界で

次女 菜月の自死からの記録 菜月の居ない世界

自宅に戻る

<2020年10月23日(金)>


朝はゆっくり起きた。Hotel最後の朝食を食べて10時にチェックアウトした。
自宅に帰るのだが、何故か気が重い。
光美は居るはず。有香には会いたくない。
恐る恐るドアを開け声を掛けた。
何となく、怪訝そうな光美が出てきたので、荷物の搬入を手伝ってもらう。
菜月の遺骨・遺影に挨拶してから、菜月の部屋に行ってみた。
菜月が見つかった場所に座り部屋を眺める。最後に菜月は何を見たのだろう。
散らかった部屋。普段と何も変わらない部屋。
何を思い、何に悩み、何に怒りがあったのだろう。
何もできなかった自分に腹が立つ。菜月に会いたくて会いたくて
菜月の仕草を思い浮かべる。
そっけない仕草。いつもの私に掛ける言葉。“さいってえ~”
冗談に反応して発する言葉だ。
屈託ない笑顔と口数少ない言葉が浮かぶ。
もっともっと沢山話せばよかった。
涙が出てくる。菜月に会いたくてたまらない。