菜月の居ない世界で

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臓器移植 後悔 殺人

<2020年12月21日(月)>

 

菜月は2020年10月13日 夕刻に亡くなった事になっている。

夕刻。2回目の脳死判定が終わった時に。

担当医のサイン前とサイン後で菜月何も変わっていない。

眠ってる様に、息をして心臓は体中に血液を送っている。

だけど、サイン後の菜月は死者となった。

菜月を触ると、暖かくそして柔らかい。

どうしたら、死んだと受け入れる事が出来るのだろうか。

 

菜月の死亡を待ってたかの様に臓器移植の話が進む。

各臓器提供希望患者の担当医が全国から来て

菜月の品定めをして、欲しい部位の予約をする。

そして、2020年10月15日 AM5:00に菜月の臓器取り出し手術が始まり

菜月の心臓は鼓動が止まり摘出された。

私は娘を「どこかで菜月が生きている」「誰かを助ける事ができる」

そんな自分を慰める理由に、その時は良いと思ってしまい承諾した。

そして今、その判断は結局は菜月を殺した。

私は菜月を殺した。まだ生きられた菜月を。

 

誰か助けてください。どうしたら良いんでしょう?

どうしたら菜月は許してくれるのだろう。

有香は人として最低の人間になってしまった。光美の心も離れた。

菜月が居ない今、生きる意味はあるのかな。

移植コーディネータ 移植に漕ぎ着けるまでは一生懸命、親身になった振りをして

移植後は何一つ連絡は無い。

こんなに人を後悔させ、苦しめて。

でも、最後の判断は自分がした事だ。取り返しが付かない事をした。

この罪は一生消えない。