臓器移植 後悔しか残らない
<2020年12月20日(日)>
臓器移植によって、菜月の一部であっても何処かで生きている。
菜月は何処かの誰かを助け、決して命を無駄にしない。
菜月もそれを望んでいる。そう言い聞かせて望んだのに。
今は後悔しか残ってない。
菜月が自死を選んだ事への憤り。
菜月を失った事への悲しみと寂しさ。
これに加えて、臓器移植への後悔と罪が私を攻める。
移植コーディネータからは
・SNSには載せるな
・話すな
・移植先の選択は出来ない
・移植先の個人情報は教えられない
家族が教えられたのは、「性別」「年齢」「部位」だけ。
こちらの希望も何一つ聞かれる事はなかった。
光美にはその後、相手が順調に回復した事の連絡が有った様だが、
移植コーディネータの担当者は
私がタイ国で一人居る事も当然知っている。
連絡方法も当然知っているが、着信ひとつ無い。
理不尽ではないだろうか?移植の決断した事を
残された家族、私たちの心のケアは何ひとつ無い。
移植さえしてしまえば、承認取ってしまえば、後は知らないとばかりに。
まだ生きられた菜月の心臓を止めてしまう決断をして、
悔い、悲しみ、辛く悲しんでいても、何一つ無い。
感謝して欲しい?違う。
お金?要らない! 菜月を売る気は無い。
菜月を殺した事への後悔。内臓を取り出してから送った事への後悔。
脳死に至って、心停止にいたる事例を調べても、明らかに短い期間で
移植を至っている。移植をする為に脳死判定を急いだ様にも疑える。
後悔から、全てが疑心暗鬼に包まれてします。
菜月が逝って、家族はバラバラになった。
それが後悔に影響しているのか?
何時までも後悔の念に縛られる原因は何なんだ。
自死による治療費、入院費は保険が使えない。
ICUに入ると約15万円/日掛かる。
脳死で1ヶ月入院すると約450万円/月掛かるのだ。
・回復する見込みは無い。
・助かる命がある
・早く決断しないと移植が出来なくなる
・移植の可能性が有ったからと特別処置で隔離要請者である私の面会を許可
あの時、早く移植をしないと、どんな形でも生きる可能性が閉ざされ、
さらに多額の入院費に残された家族が苦労する思い込んでしまった。
焦りから、自分を良い事をするんだと暗示していたかの様に。
そして今、悔やみ、悔やんで、後悔していると思っている。
菜月がヘリコプターで運ばれた朝は天気が良く、爽やかな朝だった。
銀杏が実る広場から、朝日に照らされて飛び立つヘリコプターを一生忘れない。